ランバーソンというマウスピース・メーカーがあります。
フレッド・ランバーソン(Fred Lamberson)さんという方が製作しているメーカーで、人気があります。
私と同じく一本ずつ削りだしのメーカーですね。
今でもウェブサイトはありますが、(http://www.lambersonmouthpieces.com/)
どうやら最近は製作していないようです。
新品が作られないため、今ではランバーソンは中古市場で価格が高騰しているそうです。
ランバーソンには幾つかモデルがありますが、最もランバーソンの独自の特徴を備えているのは
SBモデルではないかと思います。SBモデルはミディアム・サイズのチェンバーに、
短いステップ・バッフルが付いているのが特徴で、このような設計はあまり他で見たことがありません。
下の写真はランバーソン5SB(アルト)。製作時期によって少しデザインが違います。
今アルト用マウスピースで、トラディショナル・モデルよりも
もっと現代的かつ汎用性の高いモデルを作ろうといろいろ試作していて、
ランバーソンSBモデルも調査の対象であります。
てなわけで、作ってみました。
ランバーソンSBみたいなプロトタイプ。
作るにあたりマウスピースの内部形状をちゃんと計測してみたのですが、
先端のバッフル、短いながらもとても急角度なんですね。
角度自体はVandoren Jumbo Javaや、Dukoff D Chamberなどよりも高い。
私の知っているマウスピースの中で一番急角度です。
さて実際に作ったものを吹いてみると、これは大変面白い。
ミディアム・チェンバーと極端に急角度のバッフルの組み合わせだからなのでしょうか、
音がゴツゴツ、ザラザラしてます。
いい意味で音の肌理(きめ)が粗いです。
例えると絹豆腐ではなく、木綿豆腐といった感じです。
そして音色の幅が広いです。
色々な音が出せるという意味ではなく一つの音にすでに色々な要素が混在していて、
非常に複雑な響きです。
鋭さ一辺倒、または柔らかさ一辺倒の音色ではなく、その相反する二つの要素が
せめぎあっているようなアンビバレントな音色です。
食感でいうと、外はカリカリ、中はモッチリな焼き小籠包みたいな感じです。
(食べ物でしか例えが思い浮かばないのは今私が空腹だからでしょうか。)
並べてみるとこんな感じ。
ランバーソンの複雑なサウンド面白いなぁ、ということで
次のモデルに反映させようかな、と考えています。