サックスパッド(タンポ)の三つ目の役割、レゾネーターとしての役割について、例を挙げながら書いています。
ピアノの響板やギターの表板もレゾネーターです。これらは英語でサウンドボードといいます。
過去のサックスの資料を読むと、「(パッド中心の)メタル・ディスクがサウンドボードのように機能する」とあります。
1938 Conn Res-O-Pads “Metal disc acts as sound board”
ピアノの響板は基本的には前回説明したレゾネーター・ギターのレゾネーターと同じ構造です。前回はドンブリの様な形でアルミ製でしたが、ピアノの響板は平板で木製です。
「Grand Piano Stringing」wengleemusic.com
響板の上にブリッジ(駒)が取り付けられており、そこに弦が張られています。弦が振動すると、ブリッジを介して響板が共振するという仕組みです。響板は厚さ8ミリ程度の薄い板です。だから振動するのですね。
「Grand Piano Bridge」wengleemusic.com
また、響板を木製にすることで、高い周波数をカットし、音にまろやかみを持たせているそうです。このように響板はピアノ音作りにも深く関係しているのです。
「ピアノの響板は響かせないための板でもある」YAMAHA楽器解体全書
また、ギターの表板も英語ではサウンドボードです。
表板の裏側にはブレイシングという複雑な補強板が取り付けてあります。その補強板の取り付け方で共振のしかたが変わり、音色に大きな変化があるようです。
ブレイシングをどのように張るかはギター職人それぞれのこだわりがあって、そのことは『アコースティック・ギター作りの匠たち』に詳しく書かれています。
私はギターは弾けないのですが、読んでいて楽しい本です。職人たちの並々ならぬ情熱を感じます。
このようにサウンドボード(レゾネーター)というものは、それ自体が振動するものであり、また楽器の音作りにとって重要な機構なのです。
次回はサックスの話に戻ってきます。