キーの開きを低く設定したとき、起こりうる問題点の続きです。
キーの開きを全体的に狭く設定したとき、その楽器のピッチは全体的に低くなります。実際に演奏するときには、マウスピースをより深くネックに差し込むことで、低くなったピッチを補う必要があります。
マウスピースを抜き差ししたとき、Low BbからHigh F#までの、全ての音のピッチが均等に変化するわけではありません。マウスピースを抜き差ししたときのピッチの変化は、マウスピースに近いトーンホールほど大きな影響があります。このことは、普段チューニングでマウスピースを抜き差ししているときも、実は同じです。
例えばマウスピースを5mm深く差し込んだとき、マウスピースから全てのトーンホールまでの距離はそれぞれ5mmずつ短くなっています。しかしこの5mm縮めたことは、マウスピースから遠いトーンホールよりも、近いトーンホールの方が、より大きな割合が縮んだことになります。これが、マウスピースに近いトーンホールほど、ピッチが大きく変化する理由です。
このことから、キーを狭く設定し、マウスピースをそれまでより深く差し込むようになった場合、マウスピースから遠いトーンホールの音よりも、近いトーンホールの音の方が相対的にピッチが高くなる傾向がうまれます。
二つの現象が組み合わさると・・・
前項で説明した、キーの開きを下げすぎるとオクターブのインターバルが開く現象、それと今回の現象の二つが組み合わさると、つまりはハイノートになるほどシャープ気味に、ローノートになるほどフラット気味になる傾向がうまれるということです。