ある特定の音だけ、なんだか音色がこもっている。
ある特定の音だけ、ピッチがやたらに高い。あるいは低い。
楽器の音色が全体的にギャンギャンとうるさい。
上達の過程で、上記のような問題を抱えるサックス奏者は多いかと思います。それらの問題点を克服しようと、練習法を変えたり、マウスピースやリードを換えたりと様々な工夫を凝らす方もおられるでしょう。そのような雑誌の記事や書籍もたくさんあります。
しかしそうした問題の克服のために、ほとんど論じられていない事柄もあります。サックスの重要な要素でありながら、見落とされていると私が思うのは、サックス本体のセッティング、とくにキーの開きに関してです。
キーというのは、単に開いていればそれで良いというわけではなく、どのくらいの開きに設定するのかがとても大切なポイントです。キーの開きは音色や音量、イントネーションなどのサックスの性能の根幹に密接に関わっています。(ここでいうイントネーションとは、各音のピッチの関係性のことです。)
キーの開きは、メーカーの初期設定にはバラつきがありますし、リペアマンによっても開きの設定はまちまちだったりします。また、サックス奏者自身がキーの開きについて明確な指針を持っていることも非常に稀です。つまり、キーの開きに関して、その重要性にも関わらずきちんと管理されていないサックスは世の中にはたくさんあります。
こうした事情が上達を妨げ、膨大な練習時間を無駄にする方もおそらく沢山いるだろうと思います。キーの開きを設定し直すことで、イントネーションや音抜け、音色などの観点で演奏が大きく改善することがあるかもしれません。