CNCを導入した最初期の試作品です。まだロゴを入れる技術はありません。
CNCで切削し、ハンドフィニッシュすることではるかに個体差が少なく作ることができます。当初は、CNCで作りさえすればすぐに品質の高いマウスピースが製作できるかと思っていました。
ところが、その予想は大きく外れます。出来上がったものは、音色にしても音の立ち上がりなどの性能にしてもイマイチで、まだまだ既存の商品によくあるレベルといった感じだったのです。CNCを使っただけでは高品質のものは作れないのです。
開発の過程で最も難しかったのは、豊かな倍音と安定した吹奏感を両立させることでした。それを実現するためにはまだ非常に多くの見落としがあったのですが、それが何なのかこの段階では分かりません。ただ見落としている要素が、おそらくもっと微細な部分にあるのだろうということが分かっただけでした。
マウスピース開発を始めてから、CNCを導入した試作品ができるまでにかかった時間が約一年です。しかしここからの方が長かったのです。この先、設計の細かい部分を検証するのにさらに二年を要することになります。